事務所情報 | 出版物品 | 2006年9月
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台湾商標法第23条13号(不登録事由)に関する釈義(一)

 

13号 同一または類似の商品または役務における他人の登録商標または先に出願された商標と同一または 類似であり、関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞れがあるもの。ただし、当該商標または標章の所有者がその出願に同意した場合、両者の商標および指定商品または役務がともに同じのときを除き、この限りでない。



この号の主旨は先出願または先登録商標に対する保護にあり、二商標が衝突を発生するとき、一体誰によって商標権を取得すべきか。アメリカが先使用主義を採用し、商標使用の前後を商標権を取得する基準とするを除くほか、その他各国および国際間の商標協定はともに先出願主義を採用し、登録出願の前後を商標権取得する判断基準とする。従って、この号は改正前商標法第36条と同法第37条第12号(ともに先願主義に属する規定)を合併して規範するものである。この号には「関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞れがあるもの」を増設し、いままでの行政法院の判決、判例および200481日付公告で廃止された「商標類似審査基準」により、改正前商標法第37条第12号および第36条の規定を適用するとき、常に「類似するか否か」および「混同誤認するか否か」について個別的に独立して判断を行う情況がある。実際、二商標が類似を構成するか否かを判断する場合、元来混同誤認させるおそれがあるかないかについて綜合判断しなければならず、これらの概念をクリアするため、この号は二商標が「関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞れがあるもの」はじめて登録を許可することができないと明定する。「関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞れがあるもの」に対する判断に関しまして、台湾知財局は「混同誤認の虞」に関する審査基準を定めてある。200451日より実施され、案件審査の参考となっている。以下は当該基準の内容である。

一、 商標の最も主要な機能は商品または役務の来源(出所)を識別することにあり、関連する消費者が商品または役務の来源(出所)について混同誤認を発生するときに禁止しなければならない。故に、混同誤認の判断は商標法第23条第1項第13号の最も核心的課題である。

二、商標類似、商品類似および混同誤認との体系関係

(一) 商標法第23条第1項第13号に、「商標類似」と「商品または役務類似」は「混同誤認の虞れ」を判断する最も主要な要素であり、そうして必須の要素であると指摘している。

(二) 「混同誤認の虞れ」を判断するにはなおその他補助的な要素とするものがある。例えば商標の識別力の強弱、先権利者多角化経営の状況、関連する消費者が各商標に対する熟知程度など、そしてそれらの補助的要素は混同誤認の程度を強めるまたは弱めることができる。例えば、二商標の識別力が低くくまたは同時に多年併存登録されている場合、容易に混同誤認の程度を弱める。一方、先商標の知名度が比較的高く、または先権利者が多角化経営の情況がある場合、混同誤認の程度を強める可能性がある。故に、両商標は混同誤認の虞れを構成するか否かは異なる情状によって各種の要素を斟酌考量して判断するべく、即ち実務上でいう「個別案件拘束原則」である。

(三) 各種要素間に相互作用の関係を有する。原則としてその中の一つの要素がとくに合致するとき、その他の要素に対する要求を弱めることができるはずである。例えば、商標の類似程度が高ければ高いほど、商品/役務の類似程度に対する要求は相対的に低くくすることができる。

(四) 新規商標出願については、大多数の商標は未だ使用されていないで、あらゆる参考要素を現わすことができないため、自づから商標の類似程度、商品または役務の類似程度および商標の識別力の強弱等要素について斟酌すればよい。而して商標の異議申立または無効審判事件についてはその個別案件の情状並びに当事者が主張するか否かの各要素を斟酌しなければならない。しかし、関係要素がすでにはっきりと審査資料に表わしている場合、なるべく総合的斟酌するべきである。

(五) 商標類似、商品類似および混同誤認との関係は以下の表の通り:

13号混同誤認の虞

必要要素

商標類似

態様:外観類似、観念類似、読音類似

観察原則

一般の商品購買者が普通の注意程度を施す

全体観察原則を主とし、顕著な部分があるとき

主要部分観察を補助とする

時を異にして隔離して観察し、 消費者のぼんやりし

た記憶を基準する

商品類似:

機能、材料、生産製造者またはその他の要素が共同

関連している

役務類似:

消費の需要上、提供者またはその他の要素が共同関

連している

補助要素

商標識別力の強弱

先権利者多角化経営の情況

実際混同誤認する事情

関連する消費者が各商標に対する熟知程度

系争商標の出願人は善意であるか否か

その他混同誤認する要素

混同誤認の衝突の排除

衝突が発生する商品/役務を減縮する

商標を分割する

先権利者の同意を取得する

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