事務所情報 | 出版物品 | 2006年12月
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台湾商標法第23条13号(不登録事由)に関する釈義(二)

三、混同誤認の虞れを判断するに必要な参考要素 第23条第1項第13号にいう「関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞れがある」を判断するにはまず最初に必ず商標の類否および商品または役務の類否を考量しなければならない。

(一) 商標類似:

1.
商標類似を判断するには三つの態様がある。即ち、外観類似、観念類似、読音類似である。まず説明しなければならないことは二商標が外観、観念または読音においてはその一つが類似する場合、すぐ当然に商標類似と推論することができず、個別事件の異りを考慮し、それが商品または役務の消費者の混同誤認を引き起す程度までに到達できるか否かの程度をもって類似判断の根拠とすべきである。以下この三つの態様について説明する。

① 外観類似:商標の構成は若し文字、図形、記号を含む結合式である場合、その類否は全体的外観の印象について、それが十分に混同を発生するか否かを判断しなければならない。

② 観念類似:二商標の意義が同一であるかまたは類似であるかに基づいてそれが十分に混同を発生するか否かを判断することをいう。

③ 読音類似:単純な文字商標である場合、消費者が口頭または電話で注文し、または商品をラジオまたはテレビのコマシャルで宣伝広告するとき、聴覚上の反応が十分に混同誤認を発生するものは即ち類似である。

2.
注意程度は一般消費者が普通の注意程度を施すことを基準とすべきである。二商標の類否を判断するには「普通の知識経験を有する消費者が購買時に普通の注意を施して」混同して二商品または役務が同一の来源(出所)に由来するかまたは異なる来源(出所)の間に関連があると誤認する可能性があることを基準とすべきである。

3.
商標類似の判断は商標見本の全体を観察すべきである。全体観察後、若し一つの主要部が商標の顕著部を占めている場合、この主要部は最終的にやはり商標が商品または役務の消費者の全体的印象に影響を与えるものである。従って、商標類似の判断はやはり全体的観察を根拠とすべきである。

4.
一般消費者が商品を購買するとき、不確定でぼんやりした記憶で判断するのであって、商標を持って並べて対比する方式で選択購買するのではないので、微細部分の差異が消費者の印象の中に識別の機能を発揮しにくい。従って、商標の類否を判断するとき、考量に入れる必要がない。時と所とを異にして離隔観察の原則は審査人員に一般実際の購買行為の態様を注意に考えるよう思い出させるのであって、審査人員に時と所とを異にして離隔観察の審査方式で商標の類似を審査するように要求するものではない。

(二) 商品または役務類似:

1.
商品類似とは二つ異なる商品が機能、材料、生産(製造)者またはその他の要素において共同または関連する所があって若し同一または類似商標を付けて、一般社会通念および市場取引状況により、易すく商品の消費者をしてそれが同一または同一ではないが関連する来源(出所)に由来すると誤認させる場合、この二つの商品の間に類似関係が存在しているをいう。

2.
役務類似とは役務が消費者の需要に満足する上におよび役務の提供者またはその他の要素において共同または関連する所があって、若し同一または類似する商標を付けて、一般社会通念および市場取引状況により、易すく役務を受ける者をしてそれが同一または同一ではないが、関連する来源(出所)に由来すると誤認させる場合をいう。

四、混同誤認の虞を判断する補助的参考要素 商標の類否および商品または役務の類否を考量した後、なお下記補助的要素を考量して混同誤認の程度を強めるまたは弱めることができる。

(一) 商標識別力の強弱:原則として創造性の商標の識別力が最も強く、よく見かける物事を内容とする任意的商標および商品または役務と関係する暗示的説明を内容とする暗示的商標の識別力が比較的弱く、識別力が強い商標ほど、商品または役務の消費者の印象が深く、他人がやや利用すればすぐ購買人をして混同誤認を引き起す可能性がある。

(二) 先権利者多角化経営の情況:先権利者に多角化経営の情況を示す事実証拠がある場合、それを考量しなければならない。これに反し、若し先権利者が長期に亘って単に特定商品または役務を経営する場合、その保護範囲は比較的に減縮することができる。

(三) 実際混同誤認する事情:先権利者は関連する消費者にすでに混同誤認の事情が実際に発生したことを証明する関係事実証拠を提出した場合。

(四) 関連する消費者が各商標に対する熟知程度:二商標が市場においてすでに長時間併存して関連する消費者に熟知されていて、その来源(出所)が異なるものであることを十分に区別できる場合、なるべく併存の事実を尊重すべきである。これに反し、関連する消費者が単にその中の一つを熟知する場合は、比較的熟知する商標に対し、比較的大きい保護を与えるべきである。

(五) 系争商標の登録出願は善意であるか否か。若し登録出願した当時、出願人が明らかに関連する消費者をしてその来源(出所)について混同誤認を引き起す可能性があることを知っていた場合、比較的低い程度の保護を与えるべきである。

(六) その他混同誤認する要素:上記に述べた要素のほか、ある特殊情況では、混同誤認の判断に影響する要素が存在する可能性があるので、個別案件について斟酌しなければならない。

五、混同誤認の衝突の排除

(一) 衝突が発生する商品または役務の減縮:当事者が出願または登録する商標で、その指定する商品または役務に若し一部が先権利者の指定または使用する商品または役務と同一または類似で混同誤認の虞れがある場合は、当該同一または類似する部分の商品または役務の減縮を申請することができ、もって混同誤認の衝突を排除することができる。

(二) 商標を分割する:当事者はその商標が他人の商標と混同誤認の衝突を構成するか否かについて争いがあるとき、その商品または役務の減縮をしない場合は、商標の分割を考慮して争いのない部分の商品または役務をして先に許可をえることができる。

(三) 先権利者の同意を取得する:商標法第23条第1項第13号但書の規定により、「先権利者の同意を取得する」ことも混同誤認の衝突を排除することができる。例えば、ホンコンの「?魚恤」、フランスの「LACOSTE」およびシンガポールの「CROCODILE」などの三つの?(わに)が全世界で争議を発生しているが、最終的に多くは握手で和議し、併存登録の協議をして和解で解決した。 

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