事務所情報 | 出版物品 | 2007年3月
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台湾商標法第23条14号(不登録事由)に関する釈義

14号 他人が先に同一または類似商品または役務に使用している商標と同一または類似するものであって、出願人が当該他人との間に契約、地縁、業務取引またはその他の関係を有するために、他人の商標の存在を知っているもの。ただし、その登録出願が当該他人の同意を得たときは、この限りでない。


この号の主旨は他人が創用した商標または標章を剽窃して先に登録することを争うことにあり、民法上の信義誠実の原則、消費者の混同および不公正競争行為を防ぐ目的の下、商標の先使用者が他人によってその商標を不法に先に登録されたことについて争うときの権利救済機会を与えることにある。パリ条約第6条の71項および欧州共同体商標規則第8条第3項の規定を参照して、代理人または代表者が先に登録を争うことを禁止する以外に、その適用範囲を拡大し、契約、地縁、業務往来またはその他の関係で他人の商標の存在を知りながらその商標を剽窃して先に登録を争うことまでに及ぶ。

この号にいう「先使用」の商標は、国内で先に使用した商標に限らず、国外で先に使用した商標をも含む。他人の商標の存在を知っている原因は何であるかはとくに重要でなく、ただ他人の商標または標章の存在を知っていながら進んで同一または類似標章を同一商品(役務)または類似商品(役務)に使用を指定していることが証明できる場合、この号の適用があり、この号の立法趣旨に合致すると認められるべきである。これは即ち、この号に「その他の関係」の概括的規定がある所以である(経済部経訴字第09106110350号訴願決定書の趣旨参照)。

従って、「その他の関係」は解釈すべきである。言い換えれば、一般の経験法則を考慮して、たとえ直接先使用の商標の存在を知らなくても、間接的に先使用商標の存在を知っていて悪意でコピーする場合は自ずと商標法の保護を受けられない(台北高等行政法院判決90年度訴字第456号判決趣旨参照)。

この号の適用には、出願人が「他人が先に同一または類似商品または役務に使用している商標と同一または類似するもの」をもって登録を出願する要件のほか、先使用者は出願人が「契約、地縁、業務取引またはその他の関係を有するために、先使用商標の存在している」事実を知っていることを立証しなけらばならない。先使用者は下記証拠資料をもって立証することができる。ただし、下記のものに限らない。

1.
先使用者と出願人の間に往来する書簡、取引証憑、仕入の資料。
2.
先使用者と出願人の間の親族関係に関する身分証明書類。
3.
先使用者と出願人の営業地は同一の街道または隣り街道にある住所位置に関する証明書類。
4.
先使用者と出願人の間に、投資関係を有し、曾つて株主、代表者、マネジャー、職員などの株主または従業員であった証明書類。
5.
商標事件の争議事件で、先使用者と出願人の間で、曾つて互いに商標争議事件の対立する当事者であったことに関する当局(知財局)の商標無効審判決定書、異議申立審定書または取消処分書等関係資料。
6.
その他出願人が先使用商標の存在を知っていることを認定できる証拠資料。

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