事務所情報 | 出版物品 | 2007年6月
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専利一括授権、フィリップス等の企業が勝訴(最高行政裁判所96年判字第553、554、555号判決により)

フィリップス電子、ソニー、太陽誘電の三社が「オレンジブック」という標準規格を制定し、一括授権方式によってCD-Rディスクに関する専利(特許)実施権を付与する事に対し、巨擘等台湾CDディスクメーカーは、公平取引委員会に調査を要請した。20011月、公平取引委員会は、フィリップス電子等三社が、公平取引法第7条の連合行為に対する禁止規定に違反し、市場独占における地位を濫用しているという決議を下し、フィリップス、ソニー、太陽誘電の三社に一括授権行為を停止することと、又、各社にそれぞれ800万、400万、200万元の罰金を要求した。三社はこれを不服とし、7年にわたり公平取引委員会に訴え続けた。最高行政裁判所は20074月に判決を下し、台北高等行政裁判所の見解を肯定し、三社の勝訴が確定した。公平取引委員会は、判決の結果がでた後、本案件に新たな処分をするか、又は不処分の決定を下すか、再度検討する。

公平取引委員会のこの決議は多くの争議を生み、その後、この決議に対して行政訴訟を提起する案件が絶えなくなった。フィリップス等三社がこの決議に不服とし、行政訴訟を提起した他、フィリップスと台湾CDディスクメーカーの間で、CD‐Rディスクの専利授権の金額について一向に合意しない為、國碩は台湾知的財産局に強制授権を要求した。知的財産局はその後、これに同意した為、フィリップスが不服を申し立て、今年の初めに、再び欧州委員会に対し、世界貿易組織(WTO)の紛争解決手続きにより、該強制授権案を解決するよう要請している。

最高行政裁判所の判決は下記のように認定した。即ち、フィリップス、ソニー、太陽誘電の三社が有する専利は、確かにCD‐Rディスク製造にとって不可欠な技術であり、CD‐Rディスク技術市場において独占的地位を占めている。しかし、これら三社の共有する専利(特許)技術は「オレンジブック」標準規格に合い、これらの特許は、互いに補い合う性質を有し、競争関係が存在しない。詳しく言えば、公平取引法の規定によると、事業が連合的行為をするためには、互いに競争関係をもつ必要があり、もし各事業が提供する商品またはサービスが、それぞれ異なって独立した効能を有し互換性がなければ、各事業間に競争関係を持つとは言えない。即ち、もし商品またはサービスに互換性がなければ、たとえ各事業が連合行為を有していても、共同で価格を決定したり、数量限定等の違法行為をすることができず、取引の機会または取引の秩序に影響しない。よって公平取引法に違反しない。

最高行政裁判所はフィリップス等三社に連合行為が不成立である判決を下したが、今後該案件は公平取引委員会に戻り、公平取引委員会が再び処分(決議)をする。フィリップスは今後、公平取引委員会および欧州連盟委員会で、それぞれ如何なる裁決を下されるか、注目に値する。

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