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台湾商標法23条1項12号にいう著名商標の保護に関する審査基準(その一)

2007年11月9日
経済部経授知字第09620031170号
 

1. はじめに
著名商標に対する保護を強化するため、台湾商標法は23112号に他人の登録を消極的に防止する規定を設けるほか、同法621号にも他人の使用を積極的に阻止する規定を設けている。この審査基準は商標の登録出願および異議の申立、登録の審判の手続中、その商標の登録が、23112号の規定に該当するか否かをいかに審査すべきかに対して設けたものであり、同法621号にいう商標権の侵害とみなすことについての認定は、司法機関の職掌に属され、この審査基準に討論する範疇ではない。

23112号前段に、「他人の著名商標又は標章と同一または類似しており、関連する公衆に混同誤認を生じさせる虞があるものは、登録することができない。」と規定されている。その規定の内容から、それが同項13号の規定と同様、ともに関連する消費者に商品又は役務の出所について混同誤認を生じさせる虞を避けるためにあることを知ることができる。この二号の間の関係については以下の段落に説明する。

23112号前段に、「他人の著名商標又は標章と同一又は類似しており、著名商標又は標章の識別性又は信用・名声に損害を生じさせる虞があるものは、登録することができない。」と規定されている。この規定の主旨は著名商標又は標章と特定の商品又は役務の出所との間の連帯する力を弱めることによって著名商標または標章の識別性を弱めること、若しくは著名商標または標章の信用・名声に損害を生じさせることを防止することにある。

23112号前段と後段の規定はおのおの異なる理論体系と立法趣旨があるため、とくにこの審査基準を定め、当局案件審理の依拠とする。

2. 23112号前段の規定の適用
商標の最も基本的な機能は商品または役務の出所を区別することにあるので、伝統的な混同するおそれの理論はこれを中心として商品又は役務の出所について混同誤認を生じさせる可能性があるあらゆる参酌要素を探究することである。従って、各国の商標法はともに商標の商品又は役務の出所を識別する機能性の確保をその趣旨の一つであり、よって消費者の利益を保護するのである。また、関連する消費者が二商標の表示する商品又は役務の出所について同一の出所に由来すると誤認することがないが、二商標には賛助関係、従属関係または連帯関係の連想を生じさせるときに、実務上混同誤認の虞があると認めている。
故に23112号前段の規定にいう「関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞がある」とは、商標が消費者に与える印象が関連する消費者に混同して商品又は役務の出所について誤認させる可能性があることを言う。出所が同じでない商品または役務を同一の出所に由来すると誤認し、若しくは二商標の使用者の間に、関係企業、使用許諾関係、加盟関係或いはそのほか類似関係を有すると誤認する情況などを含んでいる。

「混同誤認するおそれ」についての規範は23112号の前段及び同項13号にはともに規定があり、二者の区別は保護する客体の違いにある。12号前段の規定に保護される客体は著名商標または標章であり、13号の規定に保護される客体は登録商標または先願商標である。従って、この二号の規定の中、「混同誤認するおそれ」についての判断には同一性があることは当然である。故に、23112号前段の規定で「混同誤認するおそれ」についての判断は、200451日に公布された「混同誤認するおそれ」に関する審査基準を援用することができる。

23112号前段の規定の趣旨は、著名商標を保護し、混同誤認の虞を受けることを免れることにあり、かつ、当該規定に違反するかしないかの最終的考量基準は、関連する消費者が混同誤認を生じる可能性があるかないかにある。従って、以下まず23112号前段に規定する保護の客体、即ち拒絶査定または争い(異議の申立または登録の審判)に引用される商標が著名商標であることを説明してから、関連する消費者が混同誤認する虞を生じるか否かを判断するときの参酌要素を説明する。

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台湾知的財産裁判所組織法
(その四、第6章~第8章、第30条~第45条)

6章 法廷の開閉及び秩序
第30条 知的財産裁判所の開廷は裁判所内においてこれをする。ただし法律に別段の規定がある場合は、この限りでない。
②知的財産裁判所の法廷の席の配置及び傍聴規則は、司法院がこれを定める。

第31条 知的財産裁判所は必要があるときに、管轄区域内の指定場所において臨時に開廷することができる。

②前項臨時開廷の規則は司法院がこれを定める。
第32条 裁判長は法廷の開閉及び訴訟審理について指揮する権限を有する。
第33条 法廷の開廷時には、裁判長は、秩序を維持する権限がある。
第34条 法廷の秩序を妨害しまたはその他の不当な行為をする者がある場合は、裁判長はその者が法廷へ入ることを禁止し、または法廷から退去することを命ずることができる。必要があるときは、閉廷まで拘束を命ずることができる。
②前項の処分に対しては、不服の申立をすることができない。
③前二項の規定は、裁判長が法廷外で職務を執行するときにこれを準用する。
第35条 訴訟代理人、弁護人が法廷において訴訟の代理または事件の弁護をするに当って、不当な言語、行動があるときは、裁判長は警告を与え、またはその開廷当日の代理若しくは弁護を禁止することができる。
第36条 裁判長が前二条の処分を行ったときに、その事由を調書に記載しなければならない。
第37条 この章で裁判長に関する規定は、受命裁判官または受託裁判官が職務を執行するときにこれを準用する。
第38条 裁判官、受命裁判官、受託裁判官が法廷秩序維持のために発した命令に違反したことによって裁判所の職務執行を妨害して制止を受けたにも拘わらず従わない者は、3ヶ月以下の懲役、拘留または新台幣九千元以下の罰金に処する。

第七章 司法行政の監督
39条 知的財産裁判所の行政の監督は、次の規定による。
. 司法院長官は、知的財産裁判所およびその分所を監督する。
. 知的財産裁判所長官は、その裁判所及び分所を監督する。
40条 前条の規定によって監督権を有する者は、被監督者に対して次の処分をすることができる。
. 職務上の事項に関し、命令を発して注意させることができる。
. 職務怠慢、権限踰越又は不穏当な言動のある者に対して法によって懲戒処分または懲戒を行う。
41条 本章各条の規定は、裁判権の独立行使に影響を与えるものではない。

8章 付則
42条 知的財産裁判所訴訟の裁判は期限を定めなけれならず、その期限は司法院が命令でこれを定める。
43条 知的財産裁判所及びその分所の裁判書で当事者または第3者の営業秘密に関わる部分については開示してはならない。
44条 この法律に規定されていないときは裁判所組織法及びその他の関連する法律の規定を準用する。
45条 この法律の施行日は司法院が命令でこれを定める。
台湾知的財産案件審理法(その四、第5章付則、第35条~第39条)

5章 付則
35条 秘密保持命令に違反する者は3年以下の懲役、拘留または新台幣10万元以下の罰金を科し又は併科する。
前項の罪は告訴を待って論ずる。
36条 法人の責任者、法人又は自然人の代理人、被雇用者又はその他従業員は業務の執行で前条第1項の罪を犯したとき、その行為者を処罰するほか、当該法人又は自然人に対しても前条第1項の罰金を科する。
②前項の行為者に告訴し又は告訴を取下げたとき、その効力は法人または自然人に及ぶ。前項の法人又は自然人に対して告訴し又は告訴を取り下げたとき、その効力は行為者に及ぶ。

37条 この法律の施行前すでに地方裁判所及び高等裁判所に係属している知的財産民事事件に関し、その裁判所の管轄及び審理手続きは次の規定による。
1.
その進行程度によって当該裁判所がこの法律の規定する手続きによってこれを終結し、それがすでに法定手続きによって進行した訴訟手続きはその効力を影響されない。
2.
地方裁判所がすでになされた裁判は未だ上訴又は抗告裁判所に送られていないときは、知的財産第二審裁判所へ送らなければならない。
②第23条の案件及びその付帯民事訴訟はこの法律の施行前すでに各級裁判所に係属しているときに、その以後の訴訟手続きは各係属裁判所によってこの法律の規定に基づいてこれを終結しなければならない。ただし、この法律の施行前、すでに法定手続によって進行した訴訟手続きは、その効力を影響されない。
③この法律の施行前、すでに高等行政裁判所に係属している知的財産行政訴訟事件はその進行程度によって当該裁判所がこの法律の規定手続に基づいてこれを終結する。そのすでに進行した手続きは、その効力を失わない。

38条 この法律の施行規則及び審理規則は司法院がこれを定める。

39条 この法律の施行日は司法院がこれを定める。
中国専利(発明特許、実用新案、意匠)の出願件数は400万件、
商標の出願件数は300万件突破
2007
1224日まで、中国専利(発明特許、実用新案、意匠)の出願件数は4,002,103件に達しており、400万件を突破した。そして200711月末日まで、商標出願の総件数は301,37万件に達しており、300万件を突破した。中国大陸専利/商標の出願件数ではすでに世界一の大国に成長した。
中国の専利法は1985年から発足し、2000年の初めに至り、約15年近い期間に専利(発明特許、実用新案、意匠)の出願件数は100万件を突破した。その後42ヶ月を経過した後、専利の出願件数は200万件を突破した。また23ヶ月を経過した後、専利の出願件数は300万件を突破した。この度全力をつくして知的財産権の保護政策を推し進めた結果、わずか16ヶ月の短い期間をもって専利の出願件数が四つ目の100万件、即ち400万件を勝ち得た。
前の三つの100万件と比べると、四つ目の100万件は以下二つの特徴を見せている。

一、 中国本土自体からの発明特許出願の成長率が高くなってきた。
前の三つの100万件の中、中国本土自体からの発明特許出願の成長率が、それぞれ47.8%、50.7%と53.4%となっている。これに対し、四つ目の100万件の中、中国本土自体の発明特許出願の成長率が60.8%に昇進した。2006年を例として説明する場合、中国本土自体からの発明特許出願の成長率が前一年度に比べ、30.8%成長している。中国本土自体からの専利出願の量と質はともに高められているということができる。

二、 職務による出願が安定成長をしている
前の三つの100万件の専利出願の中、職務による出願が占める比率がそれぞれ41.8%、49.5%と52.4%となっている。これに対し、四つ目の100万件の中、職務出願が占める比率が53.9%に達している。中国大陸本土自体の職務出願のデータと対比すると、前の三つの100万件の中、本土の職務出願が総出願量の31.3%、39.0%と41.2%にそれぞれ占めている。そして、四つ目の100万件の中、本土の職務出願が総出願量の45.6に達している。かつ、本土発明特許の職務出願の比率が68.9%の高きに達している。中国全体の職務出願の安定成長ぶりを見せている。その主な原因は、中国本土自体の職務出願量が安定成長をしていることにあり、このことは中国本土自体の職務出願の奨励策が効を奏していることを物語っている。

ついでに、中国大陸の商標登録出願は、200711月末の統計によると、前年度に比べ、29.19%成長した。2007年度に認定された著名商標は合計197件。工商総局商標局によって認定された著名商標はすでに1000件を越えている。
中国大陸の商標出願の審査スピードが遅く、現在早急に解決しなければならない問題である。このため、工商部門は商標審査のスピードを速めるほか、繰上げ審査、制限登録等措置を採用して、悪意出願、悪意異議申立、悪意譲渡など問題を解決したいと望んでいる。

商標の二番目の大問題は商標法違反に対する取締りの執行力の不足である。工商部門は商標法違反の嫌疑事件の移送を強め、オリンピックマークの専用権の保護アクションを展開した。200711月末まで、商標侵害事件の行政調査処分がすでに4.1万件に達し、司法機関に移送して処理させたのは143件に達した。しかし、中国大陸の領土が広くて如何に各省/地区・地方の横の連係を強化し、審判の結果が確実に執行されることを確保することは、なお大いに努力するべきであり、必ずや地方保護のカラーを消滅し、法の執行機関が確実に審判結果を執行して、はじめて商標権者が本当に受益ができ、商標権侵害問題を解決することができる。

付表

 

台灣知財局(TIPO)

日本特許庁

差異、同一点

適用対象

1、台湾で出願の外国案件

2、台湾で出願した後、国外にも出願

1、日本国内で出願後、国外に出願

2、內日本國で出願後、国外にPCT出願

台湾:外国から台湾への出願が主
日本:国外機関への出願が主

基本原則

台湾内の先行技術を先ず検索。外国で既に特許査定された、または検索した報告のあるものは、検索しなくてもよい。

国外で特許査定された特許案件は、簡単な手順で早期審査を行う。発明特許審査のハイウエイ計画により、国外で査定された請求項を再度審査しなくてもよい。

台湾は発明特許審査のハイウエイ計画には加入していない。

先行技術調査

1、先ず、台湾内の先行技術を調査する。
2
、外国で特許査定された、または、検索報告のある案件を先ず、請求範囲、類似点について外国の資料を参酌して判断する。差異点については審査基準により判断する。

1、調査機関による検索がない場合、先ず国外で検索報告および結果が採用されたかどうか確認する。採用されていない場合、国外の調査範囲を排除する。
2
、国内調査機関の検索報告がある場合、審査官が採用するか否かを判断する。

1、台湾では先ず台湾内技術を検索した後、国外検索報告および結果を、審査の参考として参酌する。
2
、日本は先ず、国内登記調査機関の検索報告があるかどうかで区分し、その後、審査官により、該報告を採用するか否か判断する。

注意事項

その他、拒絶査定された専利案件の理由があるかどうか

国外の審査結果が拒絶査定の新規性または進歩性の理由となっているかどうかを参考にする。他国の特許制度上の違いに注意する

台湾と日本は、やり方が同じである。

 

 

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