事務所情報 | 出版物品 | 2008年5月
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台湾商標法23条1項12号にいう著名商標の保護に関する審査基準(その二)

2.1 商標は著名商標である

2.1.1 定義
著名商標とは商標の表示する識別性と信用・名誉を消費者が熟知することをいうが、商標の著名度には高低の別があり、若し商標の表示する識別性と信用・名誉は、すでに広く「一般消費者」によって周知された場合、その商標は比較的に高い著名度がある。若し商標の表示する識別性と信用・名誉は、特定する関連商品市場に広く「関連消費者」に熟知されているが、「一般消費者」に周知されていることを証明されていない場合、その著名度は比較的低い。然るに、商標の著名度の如何を問わず、商標の表示する識別性と信用・名誉はすでに広く「関連消費者」に周知されていれば、その商標は著名商標であることを十分に認定できる。従って、商標法施行規則16条に、本法にいう著名とは、すでに広く関連事業又は関連消費者に周知されていることを十分に認められる客観的な証拠があることをいうと規定されているわけである。

また、商標法施行規則16条の規定にいう関連事業又は消費者は、商標が使用する商品または役務の取引範囲を基準とするのである。下記三つの情況を含んでいるが、この限りではない。

1.商標が使用する商品又は役務の実際のまたは可能な消費者。

2.商標が使用する商品又は役務の販売・販売代理のチャンネルに関わる人。3. 経営する商標が使用する商品又は役務に関連する業者。
このほか、商標が上記のいずれの関連事業または消費者に周知されている場合、著名商標と認められるべきである。さらに、争いに引用された商標は著名であるか否かは、商標法第23条第2項の規定により、その判断する時点はその係争する商標の登録出願時を基準とするべきである。

2.1.2著名商標の認定
商標が著名であるか否かは、国内の消費者の認知を基準とすべきである。そしてその商標の存在が国内の消費者に周知されうる原因は、通常それが国内で広く使用されていた結果によるものである。従って、商標が著名であることを主張する場合、原則としてその商標の国内における使用の関連証拠を提出しなければならない。しかし、仮令商標が国内に使用されていず、または国内に使用される情況が広くなくても、その商標が国外における広汎な使用によって打ち立てられた知名度がすでに国内に到達していることを示す客観的な証拠がある場合でも、やはりその商標が著名であることを認めることができる。そして商標の知名度が国内に到達しているか否かについては、その商標の使用する地域範囲がわが国と密切な関係を有するか否かを考量することができる。例えば、経済貿易関係、旅行遊覧活動が頻繁に行われているか否か。文化・言語は近いか等要素を総合して判断することができる。その商標の商品が国内で販売されている新聞雑誌によって広く報道されているか否か。またはその商標が中国語のインターネットに広く、頻繁に討論されているか否かなども、その商標の知名度がわが国に到達しているか否かの参考要素とすることができる。

商標がすでにわが国に出願しまたは登録をしていることが、著名であるか否かを認定する前提要件ではない。パリ条約6条の2によれば、未登録の著名商標であっても保護を与えるべきである。台湾はWTOの会員である以上、TRIPS協定第2条の規定によれば、パリ条約の上記規定を遵守する義務がある。従って、商標法23112号前段の規定に保護される著名商標は登録済み及び未登録の著名商標を含むべきである。言い換えると、争いに引用される商標は未登録の著名商標であっても、23112号前段の規定の保護する客体になる。従って、12号前段の規定と13号の規定「同一又は類似の商品又は役務における他人の『登録』商標または『先に出願された』商標と同一又は類似であり、関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞があるものは登録できない。」を適用するときの最大の違いは、若し争いに引用される著名商標がわが国内に未出願又は未登録の場合、単に23112号前段の規定の適用のみ主張することができる。13号の規定の適用を主張することができないという所にある。

登録商標、企業名称と先権利との衝突にかかわる

民事紛争の審理に関する若干問題の中国最高人民法院の規定

中国最高人民法院は2007218日に《登録商標、企業名称と先権利との衝突に関わる民事紛争の審理に関する若干問題の規定》を発布した。この規定は人民法院が登録商標、企業名称と先権利との衝突に関わる民事案件の審理範囲及び法律の適用原則を明確に解釈している。

同規定によれば、人民法院は下記三つの情況に関し、起訴を受理しなければならない。

1. 原告は他人の登録商標で使用する文字、図形などでその著作権、意匠権、企業名称権等先権利を侵害することを理由に、訴訟を提起して、中国民事訴訟法第108条の規定に合致する場合。

2. 原告は他人がその登録した商品に使用する登録商標が原告の先登録商標と同一又は類似することを理由として訴訟を提起した場合、人民法院は民事訴訟法第111条第3項の規定に基づいて、関係行政主務機関に解決を申請するよう原告に告知しなければならない。但し、原告は他人がその登録した商品範囲を越えた方式で、または顕著な特徴を変更し、部分的に使用し、組合せて使用する等方式で登録商標を使用することによって原告の登録商標と同一又は類似することを理由として訴訟を提起した場合、人民法院は受理しなければならない。
(以下、第11ページに続く)

 

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