事務所情報 | 出版物品 | 2008年9月
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中国最高人民法院が総合知的財産権法廷の設立を計画

中国国務院は2008611日に「国家知識産権戦略綱要」を公布し、今後まさに一連の措置を採り、知的財産権制度を完備する。中国知財制度は既に「戦略主動期」に突入している。中国最高人民法院知的財産権法廷廷長蒋志培氏が、「将来まさに最優秀なメカニズムをもってチャレンジに迎えようとする」と語った。

2008710日から11日まで中国を初め、米、独、日諸国の裁判官数十名が上海に集り、知的財産権の司法保護と題するシンポジュームを催された。現在中国の知的財産権の司法審判案件が非常に多く、経済の迅速な発展に連れて、商標、特許(実用新案、意匠を含む)及び著作権の紛争が大量に起っている。中国の知的財産権審判体系の建立はわずか20数年の短い歴史に過ぎないが、早くもいくつの変革を遂げてきて、最初知財案件は民事法廷及び経済法廷によって審理され、後は知財産権法廷によって審理されるようになり、2000年以後、知財産権法廷が民事審判第三法廷に変更された。
複雑で大量な知財案件に対応するため、「国家知識産権戦略綱要」は明確に

「知財産権審判体制を完備し、審判資源の配置を優良化し、救済手続きを簡素化する」方針を打ち出している。この前提の下、中国は現在知的財産権の民事事件、行政事件及び刑事事件を統一的に処理する知的財産権専門法廷を設置し、特許など技術性の強い事件の管轄問題を如何に適当に集中し、知的財産権の上訴法院を建立する可能性を探究している。

知財案件はそれに対応する民事、刑事及び行政審判法廷によって別々に審理することにより、裁判官は審理するとき、異なる訴訟法を別々に適用しており、審判視角の違いによって形成された司法理念も一致でなく、知的財産権刑事及び民事案件が互いに交差し抵触する情況を発生している。知的財産権の審判及び行政執行によってもたらしてきた行政案件及び民事侵害案件は常に内部的連係が存在している。これは中国の知的財産権審判が直面する苦境である。
知的財産案件の専門技術の特殊性と適用する法律の複雑性並びに知的財産案件に関わる民事賠償、刑事犯罪及び行政訴訟等に関連した問題が多いため、知的財産案件の審判は相対的に困難であり、裁判官のレベルも相対的に高いことを要請される。

上記問題に対応するため、上海浦東区人民法院は1996年に一揃いの知的財産権の「立体的」司法保護体制を試験的に始めている。このことは1995年に、中国と米国が共同出資で設立した上海吉利(Gillette)有限会社の「飛鷹」商標がたびたび模造されていた。当時浦東区人民法院の刑事法廷、行政法廷及び知識産権法廷は別々に「飛鷹」商標模造事件を受理された。刑事法廷は「飛鷹」商標を模造した犯罪者に対し刑法により刑罰に処し、行政法廷は、工商部門が「飛鷹」商標と偽った刃物を販売する個人事業者に対する行政処罰の決定を法によって維持し、また、知識産権法廷は侵害する単位に対し、吉利(Gillette)有限会社に20万元(人民元)の損害賠償の判決を言い渡された。この案件の審理から、刑事法廷及び行政法廷が業務範囲の制限により、相応する知的財産権の専門知識の欠乏を暴露された。この三つの案件が関わっているのはまったく同一事件であるのに、異なった審判法廷によって別々に受理され、審理されたことは訴訟資源の浪費を造ってしまった。

従って、1996年から、浦東区人民法院は三位一体の「立体的審判方式」を導入され、知的財産権案件の審理に当り、知的財産権の民事、刑事、行政問題に関わっている同一案件を、一括して知識産権法廷によって審理させる方式である。このパターンは故知財学者鄭成思がいう「浦東パターン」である。

その後、また「西安パターン」の発展を見た。2006年より、西安中級人民法院は全国の中級人民法院に先駆けて知財案件の民事、刑事、行政審判一体化の改革措置を実行した。それは基礎レベルの法院が管轄する知財刑事、行政一審案件を中級法院へ高めて審理させた。知的財産権に関わっている刑事、行政案件の場合、知財民事審判裁判官2名を増加して、5人の合議廷を構成して審理を行わせることによって刑事、行政、民事知的財産権案件の審判官が互いに協議調整し、法律見解の統一を確保する。将来時機の成熟を待って段々全ての知的財産権案件を知識産権審判法廷に移して審理させる計画で、もって全体的に司法資源を節約し、知的財産権案件の審判の質の向上の目標に達する狙いである。

なお、20086月より、武漢中級人民法院においても、過去14の基礎レベルの法院によって審理する知的財産権刑事、行政一審案件を、部分的民事案件管轄権を有する基礎レベルの法院、即ち「江岸区人民法院」に集中処理させている。並びに知識産権二審の民事、刑事、行政案件をもすべて中級人民法院知識産権審判法廷に集中して審理させている。こうすることによって基礎レベル法院と中級法院の二つの審級の集中管轄及び一、二審法院の特殊業務は「武漢パターン」を形成した。

このほか、目下広東、浙江、江蘇、山東、福建各省の人民法院も積極的に知的財産権案件審判の改革パターンを探究し続けている。その大方向は総合的知識産権の設置にほかならない。

中国は「国家知識産権戦略綱要」の中、知識産権上訴法院の建立を探ることを謳われている。最高人民法院は2008年末までに、総合的知識産権法の設置並びに知識産権上訴法院の建立の探究に関し、具体的な実施方法を提出する計画である。


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