台湾商標法改正草案に匂いの商標(Scent marks)、動き標章(Motion marks)及びホログラムマーク(Hologram marks)の三種類の非伝統的な商標を商標法の保護対象に加えることを本年8月25日に行われた知財局主催の商標法改正草案公聴会に明らかにされた。現行商標法は全部94ヶ条で、改正条文は38条、増設条文23条、削除条文8条、改正する幅は3分の2に達する。近年来改正幅の最も大きいものである。
現行商標法の保護対象は文字、図形、記号、色彩、音声、立体形状及びその結合式によって構成された商標である。経済産業形態の変化に合せると同時に商標登録保護の形態の拡大に対応するため、この度知財局も今回商標法第5条を修正し、動き標章(Motion marks)、匂いの商標(Scent marks)及びホログラムマーク(Hologram marks、視角の異なりにより変化する図形の平面標識)を盛り込むようになる。
2006年商標法シンガポール条約の精神に則り、知財局はすべて産業の発展を促進し、業者の努力成果を保障するものを商標登録の保護対象にすることができると認めている。注意すべき点は、匂い、動き等非文字商標が将来登録出願するには、やはり「図文表示」を要件とすべきである。即ち出願人は文字、図形、符号などを通じてはっきりと商標を解釈し、権利範囲を確認し、匂い、動きの識別力を証明しなければならない。
しかし、商標の識別性を証明することははなはだ困難である。匂いの商標を例として説明する。「匂いをにおわせば、すぐその代表する商品又は役務を知る」ことを証明することは甚だ容易ではない。また「成熟した苺のにおい」を文字で形容することは極めて難しい。故にEUでも匂いの商標を登録成功した例が稀である。
商標の保護を拡大するメリットは生産メーカをして商標のデザインをより多様化させることにあるが、その代わり知財局の商標審査の認定には困難度が増す。従って将来商標審査要件の重点はさらに出願人の挙証責任を求めるだろう。
現行のプラクティスでは音声商標を出願するには、光ディスク、略譜を添付すると共に、テーマを説明しなければならない。消費者が聴くとすぐ生産人を知って始めて審査要件と合致する。匂いの商標について消費者がちょっと嗅ぐとすぐいずれのメーカーの商標であるかを知って始めて保護要件と合致する。言い換えると、これら特殊商標の登録に際し、商標としての「識別性」を有することを強調しなければならない。
今回保護の対象に入れる予定の匂い、動き又はレーザー立体映像を有するホログラムマークについて出願人が保護する主体を、文字及び図形映像の方式を通じて挙証し、匂いの商標及び動き標章の識別力及び権利範囲を記述し、他の業者の商標との近似を避け、消費者の混同誤認の発生を避けなければならない。将来改正法が可決された後、施行細則に詳しい審査要件を定めることになる。
上記三種類の商標類型を除く、今回の商標法改正には、なお「展覧優先権制度」を新設し、さらに使用許諾を排他的使用許諾と非排他的使用許諾に分けさせ、故意によらない費用滞納の出願人に権利回復のチャンスを一回与えられる。商工企業にとってより影響を及ぼすのは「展覧優先権」である。具体的に言うと、常に展覧会で新しい商品と商標を展示した企業が展示してから6ヶ月以内に展示した日を商標の出願日として出願することができ、不肖のものが展示後先を争って出願することを防ぐためである。なお、国際展覧の認定については国外の展覧会に商品の展示をすればよく、台湾に展示する必要がない。阿里山茶を購入する時に、産地証明標章で見分けろ
台湾の阿里山茶が知名度高い故、しばしば品質粗悪な茶種(模倣品、模造品)が本物と偽って販売されている。粗悪品に農薬が残留している懸念があり、本物の阿里山茶にとって悪影響に及ぼしている。一方、2006年に台湾の阿里山、日月潭と梨山等地名が中国大陸で奪われ、先に商標登録された事件が勃発して以来、台湾知財局、農業発展委員会、県政府が協議の末、産地証明標章の形で農産品・特産品を保護することを決めて嘉義県政府(阿里山を管轄する県庁)は「阿里山」を産地証明標章として台湾知財局へ登録出願し、台湾の産地証明標章の第1号(図示の如く)を取得した。