事務所情報 | 出版物品 | 2009年9月
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公開放送の二次的利用行為の無罪化

著作権法第37条(著作物の利用許諾)の改正草案に関して営業場所でなされた著作権「公開放送の二次的利用」行為が一体無罪にさせるか否か。つまり、個別権利者の刑事訴追の権利(著作権集団管理団体を含まず)を排除すべきか否かに関して台湾知的財産局は200984日に公聴会を開いた。実務上営業場所での公開放送の二次的利用行為がややもすれば告訴されがちなので、知財局は最終的にこの類の行為を無罪にした。従って、営業場所が将来ラジオ放送又はテレビ放送を行うとき、若し事前に権利者から利用の許諾を得なかった場合、権利者が単に民事的賠償のみを求めることができ、利用者の刑事責任を追及することができない。

この改正によって影響された面は広く、飲食店、旅館、病院、大型売場、美容院など音楽を放送するニーズがある営業場所はややもすれば告訴される虞がなくなる。但し、注意すべき点は改正法によって排除されたのは個別権利者の刑事訴追の権利だけであり、著作権の集団管理団体を含まないことである。何故かというと、集団管理団体管理条例の中にすでに集団管理団体と約束して共同使用の報酬率の制定をさせたため個別権利者の問題は著作権法に回帰して処理させるからである。

公開放送の二次的利用行為の刑事責任を排除する理由は二つ。第一、公開放送の二次的利用が他人の著作を大量に利用し、利用される著作に対して自主的にコントロールできない特質を持ち、利用者は著作権集団管理団体から大量的な利用許諾を取得することは極めて難しい。若し公開放送の二次的利用者に個別の権利者から利用許諾を取得させることを要請するなら、侵害を発生するリスクが随時に起こるばかりでなく、著作の利用と流通に不利である。第二、公開放送の二次的利用の市場価値が限りある。仮令利用者が幾つの集団管理団体と利用許諾の協議に達しているにしても、なおもその他著作類別又は集団管理団体に加入していない個別権利者が権利主張に出てくる可能性がある。若し利用者が許諾を一々取得してはじめて合法的に利用できるなら、利用者が許諾を取得するコストと権利者が取得できる経済的利益は比例にならず、集団管理団体に加入していない少数の権利者が刑事訴追を利用して一般市場の取引金額と明らかに相当でない和解金を要求することも又適当ではない。従って、この類の公開放送の二次的利用行為は無罪にする必要があり、もって司法資源の不必要な無駄を省くことができる。

市場の混乱状況に対して知財局は元来「著作権集団管理団体に集中して利用許諾を行わせる」規定を新設することによって解決しようと考えていたが、世間では問題解決できないところか却って市場メカニズムを破壊すると認めているため、知財局は公聴会の3ヶ月前に「公開放送の二次的利用行為の無罪化」の構想を提出したわけである。この改正案はEU、中国大陸、香港、スイス等の規定を参考にしたと同局は語っている。著作権に対する保護は民事救済ではすでに足り、さらに刑事処罰を課す必要がないと知財局は見ている。

しかし、公開放送の二次的利用行為が無罪化されたにしても、若しその利用行為が事前に著作権者の同意を得ていない場合、若しくは著作権法第44条から第65条まで合理的使用規定に満たさない場合、やはり著作権の侵害行為に属し、賠償責任を負わなければならない。

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