事務所情報 | 出版物品 | 2009年9月
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台湾法院の民事事件裁判を中国人民法院が認める

中国最高人民法院は2009514日に「台湾地区における法院の民事判決を認可することに関する人民法院の補充規定」(以下「補充規定」と称する)を公布した。この補充規定は公布日より発効する。この「補充規定」は中国最高人民法院が「海峡両岸が犯罪の共同打撃及び司法の相互協力協定」を執行するため、民事裁判及び仲裁判断の認可及び執行に関する規定で、1998年に公布した渉台解釈と比較すると、今回公布した「補充規定」は認可申請の範囲を拡大し、台湾法院の民事判決の認可申請を包括するばかりでなく、台湾法院の民事決定、調解書、支払命令及び仲裁機構の仲裁判断をも包括する。最も重要な点は「補充規定」に始めて財産の保全制度を導入し、海峡両岸の経済貿易の交流に対し、極めて大きい影響を与えることになろう。

「補充規定」は中国最高人民法院は海峡両岸の現状及び将来の発展の需要に依拠し、両岸の人民へ司法保障を提供することを指導原則として制定されたもの。主な内容は適用範囲、案件の管轄、挙証責任、財産の保全、審査手続、審判組織、認可申請及び審理期限などを包括する。

中国大陸人民法院の民事事件と商事事件、知的財産権事件、海事事件は同じく民事の範疇に属するが、しかし両岸における効力においてはなお差別がある。「補充規定」は明確に認可申請の民事判決の範囲を拡張し、一般意義の民事判決をも含まれれば、商事、知的財産権及び海事紛争事件に対して作成された判決をも含まれている。

その次認可申請の過程において被申請者による執行財産の移転を防ぎ、申請者の正当な権益を有効に守るため、「補充規定」は中国大陸の民事訴訟法の関連条文を参照して財産の保全に対し特別の規定を設けた。財産の保全を申請する時間、条件及び財産保全の解除について的確に規範した。

さらに、台湾と中国大陸の現在の実際情況に鑑み、中国大陸の人民法院は認可を申請する台湾法院の民事判決事件の関連事実に関しては調査することが難しく、かつ、申請者の提出した民事判決書の真偽についての認定が難しい問題を解決するため、例えば認可を部分的申請する民事判決の効力は確定されたか否かは不明瞭、若しくは認可を申請する執行財産が存在しているか否かははっきりしない場合、「補充規定」は申請者がこれらの問題について挙証責任を負うことを要請し、もって台湾法院の民事判決の認可する過程においてエラーを発生し、または認可後に判決で確認された執行財産は中国大陸になく、司法資源の浪費をもたらすことを防止する。

中国大陸の民事訴訟法の改正に従って「補充規定」は当事者の認可申請時間を1年から2年に延長し、2年以内に不可抗力又はその他正当の理由があって認可申請の提出期限に遅延した場合、原因消滅後の10日間以内に、期限の延期を申請できると規定している。
全体的に言えば、中国大陸では「補充規定」は下記の特点を有すると認めている。

1.「補充規定」には中国大陸人民法院の決定で認可された台湾地区の法院の民事判決は中国大陸人民法院で作成された発効判決(効力を発生する判決)と同等の効力を有すると明文に規定している。中国大陸で1998年に「人民法院が台湾地区の法院の民事判決を認可することに関する規定」(以下「規定」と称する)が発効後、中国大陸人民法院が認定した台湾法院の民事判決は中国大陸人民法院で作成された発効(効力を発生する)判決と理論上同等の法的効力を有するとなっているが、しかし実務上一部の法律専門家には認可された台湾法院の判決は効力においては中国大陸の人民法院で作成された判決より低いという誤解を生じている。この誤解を消すため、「補充規定」の第1条で認可された台湾法院の判決は中国大陸人民法院で作成された判決と同等の効力を有すると明文に規定している。

2.「補充規定」は「広汎性」と「統一性」を有する。「広汎性」とは認可を申請する台湾法院の民事判決には伝統的民事、商事、知的財産権、海事等紛糾事件を含めて、これらに関して作成された判決はともに「規定」及び「補充規定」に基いて認可を申請することができると明文に規定している。「統一性」は適用範囲を指すことである。「補充規定」には認可を申請する台湾法院の民事判決と決定、調解書、支払命令及び台湾仲裁機構の判断はすべて「規定」と「補充規定」を適用すると明文に規定している。従って、この5種類の書類の認可申請手続きは統一した。

3.「補充規定」は「現実性」と「即応性」を有する。台湾法院の民事判決の認可範囲を拡大したため、認可申請事件の当事者に最大限の便利を提供した。その中最も重要な点は財産保全制度の設定である。詳しく申し上げると、「補充規定」は認可申請期間を規定し、申請者が全行程で財産保全を申請することができ、こうして当事者の合法的権益を最も完全に守ると同時に担保制度をも財産保全手続に導入し、並びに申請者に財産の存在している証拠の提供を要求し、財産保全のエラーによる申請者の損失の発生を減少することにより、当事者双方の利益の均衡を求める。

4.「補充規定」は「規範性」と「操作可能性」を有する。事件の管轄及び管轄権の衝突について明確な規範を有するほか、立案、審理及び執行の三者を分けて事件の公正処理を確保する。認可申請事件の立案は統一的に立案法廷によって審査してから関連する民事審判法廷の審査人員によって構成された合議廷で審理を行う。認可決定を作成した後、申請者が中国大陸の民事訴訟法の規定により、台湾法院の民事判決を執り行うことができる。

5.「補充規定」は「包容性」及び「将来性」を有する。海峡両岸の法律制度と規定の差異を考慮して「補充規定」にはある法律用語を変更し、「発効(効力を発生する)判決」を「判決の効力が既に確定した」と規定したと共に判決の真実を確認できることと判決の効力が既に確定したことを確認できることをその効力を認可する重要条件としている。認可申請後と執行の連続を解決するため、「補充規定」は申請者が決定により中国大陸の人民法院に対して判決の執行を申請したとき、人民法院は受理しなければならないと規定している。

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