事務所情報 | 出版物品 | 2009年12月
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「表参道」が公衆に指定商品(第5類)の産地について誤認誤信させる虞があるとして登録拒絶の査定を認めた台湾知財裁判所の初判決

登録拒絶の査定を認めた台湾知財裁判所の初判決

台湾知財裁判所第二法廷は200942日に台湾法人天○股份有限公司が第5類「人体用薬品、漢方薬材、薬酒、総合ビタミン剤、栄養補助品、…等商品」に使用を指定した商標出願を拒絶した知的財産局の処分並びにその処分を維持した経済部の訴願決定を違法しないとして原告商標出願人の提起した行政訴訟を却下する初判決をした。

一、 事実概要:天○公司は200786日に「表参道」を商標法施行細則第13条に定められている商品及び役務分類表第5類の「人体用薬品、漢方薬材、薬酒、総合ビタミン剤、栄養補助品、…等商品」を指定して台湾知財局へ登録出願し、同局は「表参道」が日本東京都の道路名(有名なファッション店が林立)で、それを上記商品に使用を指定した場合、一般消費者をして同商標の表示する商品は日本東京都の「表参道」に由来すると誤認誤信させて指定商品の産地について誤認誤信させる虞があるとして本件商標出願を拒絶査定をした。天○公司は不服で、経済部へ訴願を提起し、経済部は2007123日に経訴字第09706000050号訴願決定書を以って却下決定をした。天○公司は不服で、さらに知財裁判所へ本件行政訴訟を提起した。

二、 原告天○公司の訴えの声明:訴願決定及び原処分を取消し、被告官庁知的財産局は出願第096037437号「表参道」商標登録出願について登録許可の査定をしなければならない。

原告天○公司の主張:台湾企業は日本の地名を商標としているものがよく見られることで、商標自体が広告宣伝の機能を有し、一般企業は商品を表示する商標の文字として特に喜んで採用するのは標榜性又は隠喩的文字で、消費者に容易に記憶させると共に商品又は役務の広告機能を実現することである。一般大衆は繰り返して見るうちに、この商標をよく覚え、自ずと商品の出所を識別することができ、誤認誤信を引き起す虞がない。「表参道」は日本東京都内ファッション商品を販売する名所ではあるが、一般の消費者が知っている如何なる農産品、特産品又はその他の産品の産地ではなく、またも同商標が指定する漢方薬材、総合ビタミン剤等商品で知られているわけではないので、同商標の文意が指定商品の性質、品質の良さとは全く関連がなく、絶対に「名実不一致」の事情がなく、且つ消費者も日本のファッションセンターを表示することを誤認誤信を引き起すこともなければ、消費者の指定商品を購買する意欲に影響することもない。故に、これは地理名称の任意的使用であり、同商標は商標法第23条第1項第11号の規定に違反するところがない。

三、 被告官庁知的財産局の声明及び抗弁:原告の訴えを却下すると下記のように抗弁する。

「表参道」は日本東京都内の道路名で、日本で最もトレンディなショッピングセンターで、東京のファッションセンターの新しいランドマークであり、日本のパリの美称がある。「表参道」を人体用薬品に使用を指定することは、一般の消費者をして当該商品は日本東京の表参道に由来すると誤信させる可能性があり、その表示する商品の産地について誤認誤信させる虞がある。

地理名称が若し商品と関連がない場合、必ずしも関係する大衆に誤認誤信させる虞がないが、しかし、地理名称の性質と消費者の認知でもって判断と考慮の要素としなければならない。「表参道」は日本で著名なショッピング街としてその販売する商品が多様性多変性に富み、それを商標として上記指定商品に使用された場合、一般の消費者はやはり当該商品は日本に由来すると思う可能性があり、結局、商品の産地について誤認誤信する虞がある。

なお、原告天○公司は日本、アメリカ又はフランスの地名、行政区域又は著名の街道名を商標又は商標の一部分として登録された例を数多く挙げられてるが、時間と空間の差異変遷により、或いは本件の事案と異なり、又は別件の妥当性の問題に属するため、商標審査個別案件拘束の原則により、自ずと「表参道」商標が登録を許可させるべきか否かに引き合いに出す論拠とするべきではない。

四、 当事者双方の争点は商標「表参道」が商標法第23条第1項第11号の規定に違反するか否かについてチェックしたところ、

1) 本件商標はデザインをしていない、単純な横書きの漢字「表参道」で、右から左へ並べて構成された。「表参道」は日本東京都内の道路名で、原宿から青山通りまでの間にあり、数多く世界的著名のブランドがここに旗艦店を設けて、東京の国際的ファッションの新しい指標になっている。このことは被告官庁が200842日、811日にダウンロードしたネット資料及び原告天○公司が同年514日にダウンロードしたネット資料で証明されている。しかもこれに対し、原告が争わない。

2) 原告天○公司が東京の道路名「表参道」の単純な活字体文字を商標としていて何らデザインも施していず、「人体用薬品、漢方薬、薬酒、総合ビタミン剤、栄養補助品…等商品」に使用を指定したことで、関係消費者が原告の商品に「表参道」の文字の表示で当該商品の産地は日本東京の「表参道」に所在することを誤認誤信させられる可能性がある。

3) 原告天○公司が東京の「表参道」は漢方薬、西薬又は栄養補助品等商品で有名になることがないために、「名実不一致」の事情がないと主張しているが、しかし本件商標は直接「表参道」を商標としていることは十分に人をしてその使用を指定する人体用薬品等商品の産地は日本東京の「表参道」に由来すると誤認誤信させる可能性がある。東京の「表参道」は実際人体用薬品等商品を生産しているか否か、若しくは人体用薬品等商品で著名になっているか否かは問われないである。本件斟酌の重点は日本東京の「表参道」は一地理名称で本件商標「表参道」は容易にわが国の一般消費者をして東京の「表参道」のファッションの知名度によってこの商標の表示する商品は日本東京の「表参道」に由来すると誤認誤信して指定商品の産地について誤認誤信させる虞を引き起すことにある。故に、原告のこの部分の主張は取ることがないのである。

なお、原告天○公司が挙げられている商標見本の中、「原宿」、「千代」、「代官山」を含有する商標登録例についてはその商標見本は本件とは共に同じくないため、本件の事案とは異なり、それは各事例が妥当か否かの問題であり、商標審査個別案件拘束の原則により、なお本件にとって有利な論拠にはならない。

台湾知財裁判所で審理した結果、200942日に98年行商訴字第10号行政判決を言い渡された。上記に述べたことをまとめて論ずると、本件商標は商標法第23条第1項第11号に規定する情況がある。従って本件商標登録出願を拒絶した原処分は法に違わず、訴願決定は原処分を維持したことも不当ではない。原告がそれを取消、被告官庁に本願商標登録出願について登録許可の査定を命じることの訴えは理由がなく、却下しなければならない。

 

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