事務所情報 | 出版物品 | 2020年 3月
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台湾 検察官による捜査秘密保持命令の
発令を規定した営業秘密法改正案が三読通過

 

【出典:経済日報、総統府公報】
 

《営業秘密法》の改正草案が20191231日に三読会を通過した。その主なポイントは「捜査秘密保持命令」制度が新設されたことである。この「捜査秘密保持命令」制度は、営業秘密が二次漏洩するのを防ぎ、捜査の効率及び正確性を維持するため、検察官が、捜査に係る資料に接触した関係者に対し秘密保持義務の履行を命じる捜査秘密保持命令を発することができるものである。

 ここ数年、半導体などの関連科学技術業界の従業員が転職の際、社内の機密資料を無断で持ち去る機密漏洩事件が頻繁に起きており、事業者は、法律に従って訴訟を起こしたとき、却って捜査過程で機密が二次漏洩することを懸念していたことから、今度新設された「捜査秘密保持命令」制度は「科学技術業界条項」とも呼ばれている。新たな条文が可決された後は、この問題は効果的に解決されるとみられる。

 法案可決後は、「捜査秘密保持命令」に違反して二次漏洩させた者に対し、三年以下の懲役に処することができる。総統府公報で公布された《営業秘密法》の追加条文及び改正条文は下記のとおりである。

第十三条の五

認可を受けていない外国法人は、この法律に規定している事項について、告訴、私訴又は民事訴訟を提起することができる。

第十四条の一

1 検察官は営業秘密事件を取扱う際に、捜査に必要があると認めた場合、捜査内容に接触する容疑者、被告、被害者、告訴人、告訴代理人、弁護人、鑑定人、証人又はその他の関係者に対し、捜査秘密保持命令を発することができる。

2 捜査秘密保持命令を受けた者は、その捜査内容について次の行為をしてはならない。

一、 捜査手続を実施する以外の目的で使用する

二、 捜査秘密保持命令を受けていない者に開示する。

3 前項規定は、捜査秘密保持命令を受けた者が、捜査の前に当該捜査内容を既に取得し又は保有していた場合、適用しない。

第十四条の二

1 捜査秘密保持命令は書面又は口頭で行わなければならない。口頭で行う場合は、本人に直接告知するとともに明確に記録しなければならず、営業秘密の所有者に意見陳述の機会を与えることができ、七日以内に別途書面で捜査秘密保持命令を作成するものとする。

2 前項の書面は、捜査秘密保持命令を受けた者に送達するとともに、営業秘密の所有者に通知しなければならない。また、書面の送達及び通知前に、営業秘密の所有者に意見陳述の機会を与えなければならない。但し、前項の規定により、既に営業秘密の所有者に意見陳述の機会を与えている場合は、この限りでない。

3 捜査秘密保持命令を書面で行う場合は、捜査秘密保持命令を受けた者に送達した日からその効力を生ずる。口頭で行う場合は、告知した時からその効力を生ずる。

4 捜査秘密保持命令には、次の事項を明確に記載しなければならない。

一、 捜査秘密保持命令の名宛人。

二、 秘密保持すべき捜査内容。

三、 前条第二項に定める禁止行為又は制限行為。

四、 命令違反に対する罰則。

第十四条の三

1 捜査中に秘密保持とすべき原因が消滅した、又は捜査秘密保持命令の内容を変更する必要があるとき、検察官は職権によりその捜査秘密保持命令を取消又は変更することができる。

2 事件について起訴猶予処分又は不起訴処分が確定した場合、又は捜査秘密保持命令において起訴の効力が及ばない部分について、検察官は捜査秘密保持命令を受けた者の申立てにより又は職権で、その捜査秘密保持命令を取消又は変更することができる。

3 前二項の捜査秘密保持命令の取消又は変更の処分を下すときに、検察官は捜査秘密保持命令を受けた者及び営業秘密の所有者に意見陳述の機会を与えることができる。当該処分は書面で捜査秘密保持命令を受けた者及び営業秘密の所有者に送達しなければならない。

4 事件の起訴後、検察官は捜査秘密保持命令において起訴の効力が及ぶ部分を営業秘密の所有者及び捜査秘密保持命令を受けた者に通知するとともに、それらに秘密保持命令、捜査秘密保持命令に関する権益を告知しなければならない。営業秘密の所有者又は検察官は、知的財産案件審理法の規定により秘密保持命令を発するよう裁判所に申立てることができる。捜査秘密保持命令において起訴の効力が及ぶ部分は、当該申立ての範囲において、裁判所の裁定が確定した日からその捜査秘密保持命令の効力を失う。

5 事件の起訴後、営業秘密の所有者又は検察官が、事件が裁判所に係属した日から三十日以内に、裁判所に秘密保持命令を発するよう申立てなかった場合、裁判所は捜査秘密保持命令を受けた者又は検察官の申立てにより、捜査秘密保持命令を取消すことができる。捜査秘密保持命令において起訴の効力が及ぶ部分は、裁判所が裁定で取消すべきとされた範囲において、裁判所の裁定が確定した日からその捜査秘密保持命令の効力を失う。

6 前項の裁定を下す前に、裁判所は営業秘密の所有者及び検察官に意見を求めなければならない。前項の裁定は、営業秘密の所有者、捜査秘密保持命令を受けた者及び検察官に送達しなければならない。

7 捜査秘密保持命令を受けた者又は営業秘密の所有者は、第一項及び第二項の検察官の処分に対して不服申立てをすることができる。検察官、捜査秘密保持命令を受けた者又は営業秘密の所有者は、第五項の裁判所の裁定に対して抗告することができる。

8 前項の不服申立て及び抗告の手続は、刑事訴訟法第四百三条から第四百十九条までの規定を準用する。

第十四条の四

1 捜査秘密保持命令に違反した者に対しては、三年以下の有期懲役、拘留若しくは百万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 外国、中国、香港又はマカオにおいて捜査秘密保持命令に違反した場合、犯罪地の法律に処罰規定があるかどうかにかかわらず、前項の規定を適用する。

第十五条

外国人の属する国と中華民国が共に営業秘密保護に関する国際条約に加盟していない場合、又は営業秘密を相互に保護する条約又は協定がない場合、又は当該外国人の属する国が中華民国国民の営業秘密を保護していない場合、その外国人の営業秘密を保護しないことができる。


註:「営業秘密法」の詳細な内容の日本語版については、弊所のウェブサイトに掲載していますので、下記のリングをご参照ください。
http://www.tsailee.com/service_laws_show_jp.aspx?cid=3&id=90

 

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