台湾　知的財産裁判所が
海賊版サイトを集めたアプリに対し
初めて有罪判決

 【出典：中時電子報】

知的財産裁判所は、2019年7月26日に海賊版サイトを集めたアプリに対して台湾国内で初の有罪判決を下した。三立テレビ（SET）は、欧酷網路（以下、欧酷という）の代表取締役である劉于遜氏らを著作権法違反で告訴した。一審では無罪判決だったが、二審の知的財産裁判所では逆転有罪判決となった。今回の判決は、海賊版業者から年間283億台湾ドルの損失を取り戻すことに力を注いでいる正規の映画・テレビ産業にとって、重要な勝利と言える。また、欧酷の代表取締役である劉于遜氏は現在LINE TVのCEOであることから、関連業界は大きな衝撃を受けている。

知的財産裁判所は、欧酷の代表取締役である劉于遜氏と技術長である翁瑞廷氏が共同で無断で公開送信により他人の著作財産権を侵害したため、劉于遜氏を3ヶ月の有期懲役若しくは（刑期を罰金に換算して）1日当たり1000台湾ドルの罰金に処し、翁瑞廷氏を50日の拘留若しくは（刑期を罰金に換算して）1日当たり1000台湾ドルの罰金に処し、欧酷を20万台湾ドルの罰金に処すとの判決を下した。

LINE台湾はこの判決に対して以下の3点の声明を発表した。

「本件の訴訟主体は欧酷で、現在LINE TVを運営している巧克科技新メディア（以下、CHOCO Media社と言う。劉于遜氏が創立した会社で、2018年11月に韓国のNAVER社とLINE日本から1千万米ドルの投資を受けて、LINE TVと合併した）とは異なる法人である。劉于遜氏の欧酷にいた時期の行為について、LINE台湾は裁判所の判決を尊重する。LINE TVは、著作財産権を尊重すると同時に、ユーザーに許諾を得た合法的なコンテンツを提供する高品質の動画配信プラットフォームである。」

LINE TVはCHOCO Media社と合併する際、劉于遜氏が訴えられていることを既に知っていたが、それは劉于遜氏の個人的なことであり、判決もまだ出ていなかったことから、CHOCO Media社との合併がLINE TVの地域適応性の加速化と月間アクティブユーザー数の増加に繋がることを重視した。現在、二審で有罪判決となったが、劉于遜氏は更に上訴する予定である。

三立テレビは、同社が年間約4,000時間（そのうち1,200時間のドラマを含む）ものコンテンツを制作しており、2015年に、同社の「世間情」などの著作財産権が欧酷の「連続ドラマ2」というアプリの連続ドラマ視聴リストに加えられていることを発見して告訴し、裁判は二審に進んだが、今回の知的財産裁判所の著作権保護の判決を高く評価すると述べた。

OTT（Over the Top）業界は、本件が2016年に最初の海賊版セットトップボックス「全視福」に対する有罪判決が出て以来、台湾国内で初めてのアプリによる著作権侵害に対する有罪判決が下された事件であり、次の3つの重要な意味を有していると指摘した。即ち、（1）本件は「海賊版サイトを集めたものであり」、「コンテンツを手作業で選別してアップロードし」、「問題を排除するために取下げた後改めて整理してアップロードし」、「専門的に権利を侵害する悪意を有する」ことに基づいて判決が下されたことで、海賊版サイトを集めたアプリが、インターネットのリンクという理由で罪を逃れることができなくなったこと、（2）政府がテクノロジー人材や新興企業による海賊版製作の問題を重視していること、（3）正規品購入の重要性が消費者に伝わり、産業の健全な発展に役に立つことである。

欧酷及び劉于遜氏らは、三立テレビのほかにも、許諾を得ずに「W-君と僕の世界」、「むやみに切なく」などの韓国ドラマや「新感染ファイナル・エクスプレス」などの韓国映画を無断で欧酷の「連続ドラマ2」アプリの連続ドラマ視聴リストに加えたため、それぞれKKTVと車庫娯楽に著作権法違反で訴えられている。